本の出版の話で
などの言葉を聞いたことはありませんか?
ここでは、この3つの言葉のちがいや意味について
また、業界用語で使われる
- 重版(じゅうはん)
- 重版出来(じゅうはんしゅったい)
などについて解説します
サクッと結論
- 初版=一番最初に完成した原稿、原版のこと
- 初刷=一番最初につくった原稿(初版)から初めて印刷すること
- 第一刷=一回目に印刷すること
本をつくるとき、原稿(げんこう)を最初に作成します
その一番最初につくった原稿のことを初版(しょはん)といいます
その初版をつかって印刷することを初刷(しょずり)または、第一刷(だいいちずり)といいます
そして、最初につくった原稿に間違いがみつかった場合、原稿を書き直します
その2つめの原稿をつかって初めて印刷することも、第一刷といいます
簡単に違いを理解できたら、本文で詳しく解説していきます
本に関する専門用語や本がどのようにつくられいるのか、印刷されているのか
また本屋さんに並ぶまでの過程を理解することができます
それでは詳しく解説していきます
ラニ
- 年間250冊以上、学習まんが1000冊以上の読書家
- 元教諭で2児のママ
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読書経験:学習まんが1000冊以上
本が出版(しゅっぱん)されるまでの流れ
本を出版するまでの間の工程は以下の通りです
企画
どのような本を出版するか、企画し立案する
↓
執筆
企画が固まったら執筆活動にはいる
近年では、プロのライターにお願いして書くことが多くなっているようです。
↓
校正
間違いがないか、事実関係に問題はないかなど、原稿をチェックする
↓
入稿
印刷会社に原稿のデータを送る
↓
印刷
書物にあった印刷方法を選択し、印刷する
印刷方法は、色々あるけど、書籍を出版する時の印刷方法は、2種類に絞られるよ。オフセット印刷とオンデマンド印刷と言うよ
↓
発売
書店などに本が並び、発売される
本が出版されるまで、一般的には、3~8か月かかります
1年以上かけて出版される本は、数多く存在しています
初版(第一版)・初刷(第一刷)
本を出版する時に、一番最初に完成した原稿(原版)のことを
- 初版(しょはん)または 第一版(だいいっぱん)
といいます
そして、その初版を印刷したものを
- 初刷(しょずり、はつずり)または 第一刷(だいいちずり)
といいます
原版とは本を印刷するために必要な、元となる原稿のこと
本を印刷するために必要な、元となる原稿のことを
- 原版(げんばん)
といいます
昔行われていた印刷方法に 活字印刷 があります
その活字印刷では
原版にインクを塗って紙に写していました
小学校で経験する版画のようなものです
今は、コピーする時のように簡単に印刷できるため
そのような方法は使われていません
第一刷とは、原版が変わるごとに使う言葉
第一刷(だいいちずり)は、初刷(しょずり)と同じ意味で使うことができます
ただ、第一刷(だいいちずり)は、原版(げんばん)がかわって、新しくなった場合に
一回目に印刷するときにも、使うことができる言葉です
原版が変わるタイミングは、最初につくった原版に間違いがみつかったときに新しく作り直します
その新しくつくった原版で一番最初に印刷することも第一刷といいます
版木とは原版のこと、ただし、木版印刷のときに使う言葉
また、原版に似たものに
- 版木(はんぎ)
と呼ばれるものがあります
版木は原版に含まれますが、木版印刷 という印刷方法で用いる場合の原版に特定され使われます
版木は、木版印刷で、文字や絵などを彫りつけた木版。日本では主にヤマザクラ・ツゲなどの材を用いた
版木 コトバンク引用
版=字を刻んだ印刷用の板のこと・刷=印刷すること
そもそも
- 版(はん) と 刷(すり、さつ)
それぞれの意味の違いは何でしょうか?
字を刻んだ印刷用の板のことを
- 版(はん)
といいます
土塀を築く時、両側から相互に力を作用させ、土をはさみ突き固める際に使用する板」を意味する「版」という漢字が成り立ちました。転じて(派生して・新しい意味が分かれ出て)、「札」、「字を刻んだ印刷用の板」の意味も表すようになりました。
漢字 漢和 語源辞典より引用
漢字がどうやってできたのか知ると面白いよ
版の成り立ち(漢字 漢和 語源辞典ウェブサイト)
そして
刷ること・印刷することを
- 刷(すり、さつ)
といいます
これら2つの漢字の意味を知ると
本に関する用語を簡単に理解できるようになります
本が出版されるまでの過程
本が出版されるまでの過程を知ることで、用語を理解していきましょう
最初に原版、原稿が作られる=初版
↓
それを印刷する=初刷、第一刷
↓
どのくらい売れるかわからない為、冊数を決めて印刷する(最初はだいたい少な目に印刷される)
↓
売り切れる
↓
2回目の印刷に入る=第2刷(にずり)
↓
売り切れる
↓
3回目の印刷に入る=第3刷(さんずり)
↓
売り切れる
↓
このように、売り切れるごとに、印刷が繰り返される
4刷(よんずり)、5刷(ごずり)と続いていく
↓
出版後に誤字がみつかる、内容に訂正を加えるように指示がでる
↓
原版、原稿を訂正して作り直す=第2版(だいにはん)
↓
第2版で印刷する=第1刷
版が変われば、刷に関しては、また1から数え直す
このように、順に用語が変化します
下記のような世界的に人気のある本に関しては
37刷 まで増刷されていたりします
原文に訂正が何度も加えられているものは
第15版 まで作りなおされていたりします
下記の本がその例です
また、最近では
パソコンで誤字脱字の修正が簡単にできる為、3刷と書いてあっても、
原版が修正された後のものがでていたりするため、第2版の第1刷だったりするみたいです
この辛坊さんの本は、第3刷が第2版の第1刷のようです…(ご本人のポットキャストからの情報です)
初版は貴重だと人気が高く、高値で取引される
同じ著者がかいた本でも
初版は特に人気が高くなる傾向にあります
その理由は
- 世に出回る部数が少なく希少価値が高くなるから
- 加筆・修正がされていないオリジナルのものだから
- 帯、特典が初版だけ特別なことがあるから
初回特典がついていたり、誤字脱字が見つかったりすることで
希少価値が高くなり、高値でも欲しがる人が多くなる傾向にあります
昔は版画のようにして印刷していた=木版印刷
西暦200年頃は、木の板を彫って、その板にインクをつけて、紙をあて、写していました
これを
- 木版印刷
といいます
印刷方法は、年々進化し、今現在では
- オフセット印刷
という方法が、本の出版では使われています
印刷の歴史
昔から現代まで、印刷の方法は変化してきました
その変化を順にまとめました
木版印刷
↓
活版印刷
↓
プレス印刷
↓
エッチング
↓
メゾチント
↓
アクアチント
↓
ルトグラフ
↓
クロモリトグラフ
↓
輪転印刷
↓
ヘクトグラフ
↓
オフセット印刷
↓
インクジェット印刷
↓
レーザー印刷
このように印刷の方法はどんどん進化してきました
版画のように木にインクをつけて紙を押し付けていた時代から
今は、データ化され、印刷する機械も進化し、とても楽になりました
字を刻んだ印刷用の板のことを、版 と呼ぶようになったと、上記で述べましたが
昔は、板を使っていたことから、現在に至っても、版 という言葉が使い続けられています
今は、もちろん、木を彫って原版をつくるようなことは、本を出版するうえではしません
ですが、原版や初版と呼ぶのは、今も変わらず使われています
昔の言葉がそのまま使われているんだね
重版、重版出来(じゅうはんしゅったい)
重版出来(じゅうはんしゅったい)とかかれた帯は、人気のある本だという証明で使われます
- 重版(じゅうはん)
- 重版出来(じゅうはんしゅったい)
とは、出版社内で古くから使われている
業界用語の1つです
重版(じゅうはん)は、出版物を初版と同じ版を使い、同じ判型・装幀にて刷り直す(増刷・重刷する)こと。重刻(じゅうこく)または再版(さいはん)ともいう。重版が出来上がってその書籍が販売されることを重版出来(じゅうはんしゅったい)という
重版 Wikipediaより引用
重版(じゅうはん)とは、簡単にいうと、印刷してた分が売れてなくなったからもう一度印刷するということだよ
はじめに本を出版して、すぐに売り切れた場合に、このように重版される事があるため
人気があることの証明として
- 重版出来(じゅうはんしゅったい)
と 本の帯に書かれている事があります
まとめ
- 初版=一番最初に完成した原稿、原版のこと
- 初刷=一番最初につくった原稿(初版)から初めて印刷すること
- 第一刷=一回目に印刷すること
版 と刷 を理解する事で、理解しやすくなりました
原版というより、現代では
原稿 と言い換えた方が理解がしやすくなります